絵コラム

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幻創夢伝 【番外編】 恋は思案の外 4

全5話中の4話です。
続きからどうぞです。 

この話書きながら、紅竜って不器用な恋愛の仕方するんだなと思ったけど、良く考えたら青竜と黒竜はもっと不器用なので兄弟の中ではマシな方っぽい。青竜は恋愛には疎いので、相手の気持ちも自分の気持ちもなかなか気が付かない上に、気が付いた所で愛情表現が相手に伝わりにくい感じです。
黒竜は好きな相手には意図的に意地悪します。好きな子に好かれたいという願望はあまりなく、好きな子が困ってる顔を見るのが好きなのかもしれない。

前回→恋は思案の外3


幻創夢伝(番外編)

恋は思案の外

4

 麒麟が再び水晶宮を訪ねて来たのは、あれから数日後の事だった。
 水晶宮の庭への入り口の扉を開けると、最初に出迎えたのは紅竜だった。
「今日は濡れずにここまで来ることが出来ましたよ」
 麒麟は少し嬉しそうに笑う。
「いらっしゃい」
 紅竜も笑顔で出迎えた。
「これ、有難うございました」
 庭の中を宮殿入り口へ向かって歩きながら、麒麟はこの前借りた黒竜の服を手渡した。
「どういたしまして。また服を濡らすようなことがあったらいつでも貸すよ。って弟の服だけどな」
 紅竜が冗談交じりに言うと、麒麟もクスクスと笑う。笑うと花が咲いた様に華やかで、なんて可愛らしい女性だろうと、改めて紅竜は感じていた。と、同時に青竜の事を思い出して胸が苦しくなる。
「えっと、今日は兄貴に会いに来たんだよね?」
「ええ」
 手にはこの前と同じ風呂敷包みを持っている。紅竜は少し躊躇いながら麒麟に尋ねた。
「その、要件ってどうしても兄貴じゃないとダメなの? 例えば、何か渡したいものがあるとかだったら俺に預けてくれてもいいんだけど……」
「できれば本人に直接と思って……」
 紅竜は落胆した。麒麟はやはり青竜に会いたいのだ。
「あの……、もしかして、今日もご不在なのでしょうか?」
 麒麟は心配そうに尋ねた。
「いや……」
 今日は青竜は不在ではない。当然兄の所へ案内するつもりでいた。しかし、瞬間的に紅竜の中で考えが変わり、その場に立ち止まる。
「いや、申し訳ないけど、今日も不在でね」
 こんな事を言っている自分が信じられなかった。
「そうですか」
 麒麟は落胆した様子だった。紅竜の胸がちくりと痛む。
「では、また後日出直します」
 麒麟は出口の方へと向き直った。そうやって何度でも青竜と会えるまで出直すつもりなのだろうかと考えると心中穏やかでいられなかった。
 その時、がちゃりと宮殿の扉が開いた。
「麒麟ですか?」
 青竜だった。麒麟が驚いた顔で振り返る。
「お留守ではなかったのですか?」
「私なら今日はずっと宮殿にいましたけど……」
 不思議な顔で青竜が答え、麒麟の顔がみるみる不機嫌になっていく。
「紅竜さん、なぜ嘘をついたのです?」
「ちょっと、ちょっと! 一体何があったんですか?」
 紅竜が答えるより先に青竜が割って入った。
「今さっき、紅竜さんが青竜さんはご不在だと申したのです。私、もう少しでこのまま帰ってしまう所でしたのよ」
 麒麟がぷんすかと青竜に不平を述べた。
「そうなんですか? 紅竜、一体なぜ? 私が出かけたと思っていたのですか?」
 青竜は驚いた顔で紅竜に訊いた。紅竜は目を瞑ると深呼吸をひとつした。そして、腹をくくってすべてを話そうと決意した。もう一度目を見開く。
「いるのは知ってたよ」
 そう言うと紅竜は麒麟の方へ向き直った。
「ごめん、嘘を吐いた。君を兄貴に会わせたくなくて」
「会わせたくないって……どうして?」
「俺じゃ、兄貴には敵わないから」
「何を言っているの?」
「この前初めて会った時から君に魅かれてた」
「……へ?」
 麒麟はその場に固まった。
「でも君は、兄貴が好きなんだよね?」
 麒麟は目を丸くしながら今度は青竜の方を見つめる。
「紅竜、だからそれは誤解だと……というかあなた麒麟の事をそんな風に……?」
 青竜も混乱している様子である。
「兄貴は俺なんかより数万倍素晴らしい人だし、きっと君の事大切にしてくれると思うから」
「紅竜、何を言っているのですか?」
「ごめん、もう邪魔しないから、あとは二人でごゆっくり……!」
 そういうと紅竜は竜身に変化するとそのまま泉の中を上昇し、宮殿を後にしてしまった。
 麒麟はへなへなとその場に座り込んだ。真っ赤な顔をしている。
「い、今のって愛の告白……と考えていいのですよね?」
「告白してすぐに身を引くと言っていましたけど……」
「なんだか私たち誤解されてますね……」
 麒麟は困惑しながら呟いた。
「というか、麒麟、あなたは紅竜の事をどう思っているのです?」
 青竜が麒麟を睨んだ。
「え?」
「私の弟なんですよ? いい加減な気持ちで誘惑しないで欲しいですね」
「そんな……! 誘惑したつもりはないですし、ましていい加減な気持ちでなど!!」
「そうですか」
 青竜は安心した様に笑った。

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