絵コラム

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幻創夢伝 【番外編】 恋は思案の外 1

 本編がひと段落したので、次の章に入る前に短編入れます。
紅竜と麒麟の馴れ初めの話。くっついてからのラブラブ妄想も楽しいけど、くっつくまでの過程を妄想するのが好きです。
全5話です。続きからどうぞ。


幻創夢伝 

 恋は思案の外


 麒麟は泉の目の前で途方に暮れていた。
 この泉の奥深くに水晶宮があるという。そこに住んでいる青竜に会いに来たのだが、果たしてどうやって水晶宮へ行くのかが分からない。
(やっぱり、中に飛び込まないといけないのかしら……)
 麒麟はそっと片手でスカートを捲ると足を泉に入れた。もう片方の手では風呂敷に包まれた手土産らしきものをしっかりと抱えている。泉は中へと進むにつれて徐々に深くなる。途中でスカートを捲る事が全く意味のない行為だと気づいて手を離した。泉の水位が腰のあたりまでになった時に、ふと、手にしている物が濡れてしまっても大丈夫なのかが気になって足を止めた。
(でも、泉のお深くまで入らないと水晶宮へは行けない訳だし……)
 麒麟が困りながら思案していると、不意に後ろから声がかかった。
「そこで何をしている?」
 振り返ると、泉の傍で長い赤い髪を結わえた若い青年が訝しげにこちらを見ていた。
 麒麟は慌てて釈明をする。
「あの、私は怪しいものではありません!! その、青竜さんにお会いしたくてここを訪ねてきたのですが……」
「兄貴に会いに……?」
 麒麟はその青年が青竜の弟であることを悟った。赤い髪をしているという事は……
「あの、もしかして紅竜さんですか? 私は麒麟と申します」
 麒麟はその場でぺこりと頭を下げた。
「麒麟……、ああ、君が噂の!!」
 紅竜の顔から疑念が消える。
「私をご存じなのですか?」
「鳳凰からよく話に聞いてるよ」
 紅竜はにっこりと笑う。
「ああ、それではあまり良い話は聞いていないでしょう……」
「ははは、まあ色々と聞いてるけど、それよりも、早くこっちへ戻ってきたらどうです? そんな所から我が家へ入るのは、君には大変でしょう。まあ、俺はよくそのまま飛び込んだりしてるけど……」
 麒麟は顔を紅潮させながら引き返してきた。
「あの……他にどこか入口があるのでしょうか?」
「簡単さ。ノックをすれば入口は開けてもらえる」
 そう言って紅竜は片手を泉に浸す。すると泉の中からポコポコと石が浮かび上がってきて、やがてひとつの石畳の道が水上に出来上がった。そしてその道の先には繋がる様にして重厚な石造りの扉が浮かび上がっている。
「あれが入口……ですか?」
「入口の入り口かな。あの扉の先は長い回廊になっていて、水中深くの水晶宮まで繋がってる。かなり歩く事になるけど、濡れずに水晶宮まで行けるよ。さあ、こちらへ」
 紅竜は一足先に水上の石畳の上へと足を進めた。
「はい」
 麒麟も恐る恐る後に続く。泉の上に浮かび上がった石畳はグラグラとしていて不安定だった。
「落ちないように気を付けてね」
「は……はい」
 麒麟は慎重に足を進めるが、水に濡れている石畳はただでさえ不安定なのに加えて麒麟の履いている靴では滑りやすく、何度か足を持って行かれそうになった。
 
 中ほどまで歩いた時だった。
 チャポンと小さな音を立てて、泉の中から一匹の蛙が飛び出してきた。
「きゃっ!」
 蛙を避けようとして麒麟の体がぐらつく。体制を整えようとするが、石畳に足を持って行かれてしまい、とっさに紅竜の腕にしがみついた。
「うわっ!!」
 必然的に紅竜も道連れとなる。ざぶん……と泉に大きな音が響いた。

「す……すみません……」
 二人とも水浸しである。麒麟はとんでもない事をしてしまったとオロオロしながら紅竜に謝った。
「ははは……あーあ、やっちまったな」
 紅竜の方は少し楽しそうである。
「本当、すみません……」
「いや、俺は水の中は慣れっこだからいいんだけど、君、それ早く着替えないと……。そうだ、5秒だけ息止めてられる?」
「え?」
「どうせずぶ濡れになっちまったんだし、こうなったら直接潜って行った方が早いだろ。ほら!」
 紅竜はそう言うと麒麟の両腕を掴んで背中に背負い込んだ。
「え……えっと、これは一体どういう……」
「せーので行くからな。大きく息を吸い込んで、それからしっかりしがみついてろよ」
 混乱している麒麟の事はお構いなしに紅竜が「せーの!」と言い、麒麟は慌てて大きく息を吸い込んだ。
 次の瞬間、紅竜は勢いよく泉の中へと潜り込んだ。と同時に竜身へと変化している。麒麟はぐいぐいと全身が引っ張られるのを感じた。目も開けられない程の猛スピードである。
(す……すごい……!!)
 麒麟は紅竜の背中にしっかりとしがみつきながら、今までに体験した事のない爽快感を感じていた。


 




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