絵コラム

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幻創夢伝 理想論

久々の幻創夢伝本編です。やっとこさ竜宮編終了です。
青竜はどこまでも考えが清らかであるという話。仏の顔も3度までといいますが、青竜だったら何度でも許してくれそうです。
それなりに反省の色を示せばですが。

(前回までのダイジェスト)
みんなで力を合わせて妖獣に立ち向かう事になった青竜達。
鳳凰が囮となり、桜と玄武の援護を受けながら、青竜が見事妖獣を仕留めて戦いは終了したのであった。

前回→囮作戦

で、今回の本編は続きからです。


幻創夢伝

理想論

「今日は疲れたでしょう。ゆっくりお休みになって下さい」

 ここは竜神宮の社の中。そう言って青竜が部屋を出てから、どれくらいの時間が経っただろうか。桜はなかなか寝付けずに、布団の中で、何度も寝返りをうっていた。
 しばらくは今日起こった様々な出来事をひとつひとつ思い出したりなどしていたが、ふと襖の向こう側で話をしている青竜達の声が耳に入ってきた。
「……ともかく、油断は禁物じゃ。恐らく、神子が地界に来ている事は、全ての妖族に知り渡っておるのじゃろう」
 玄武の声だ。桜は話の内容が気になって、しばらくの間そっと耳を澄ませる事にした。

「青竜、いつか双子の妖魔に情けをかけて、逃がした事があっただろう」
 鳳凰が青竜を責める様に言った。耀都での一件の事を言っている。
「あの二人を仕留めておけば、こんなに早く妖魔に気付かれる事はなかったんじゃねぇの?」
 と、不満そうだ。あの時命を取り留めた二人の妖魔は、当然仲間の妖魔に桜や自分たちの存在を言いふらしただろう。
 しかし、青竜の方は納得のいかない顔をしながら鳳凰を睨んでいた。
「妖魔とはいえ、むやみやたらと殺すのはどうかと思います。あの二人は、立派に改心したのだから、それで良いでしょう」
 鳳凰は、眉をひそめると、言い返した。
「あのなー、お前、まさかと思うけど、あの二人が本気で改心したと思っているのか!?」
「あの二人が改心していないとでも?」
 すかさず青竜が言い返す。真面目にそう思っている様だ。
 鳳凰は青竜の目の前ににじり寄ると、どんと、床に手を叩きつけて睨んだ。
「する訳なかろうが!!」
「なぜ、そう決めつけるのです!」
 青竜は怯まない。ふたりは無言で睨みあった。
「まあまあ、ふたりとも……」
 玄武がふたりの沈黙を破る。鳳凰はため息を一つ吐くと、やがてクククと笑い出した。
「何を笑ってる」
 青竜は、怪訝そうな顔をした。
「本当に、あんたは馬鹿だな」
「鳳凰」
 青竜が睨む。
「いや、そう怒るなって」
 鳳凰は笑うのを止めると、真顔で青竜を見つめた。青竜の考えは理想論だ。勿論鳳凰だって、そうあって欲しいとは一応、思っている。だが、相手は妖魔なのだ。信じる方が馬鹿だと思う。だけど、そんな青竜について思っている事を、鳳凰はそのまま口にした。
「あんたのそういう所、嫌いじゃないぜ」
 青竜は微妙な顔をした。何だか、馬鹿にされている様な気がしてならない。
「いずれにしても、いつかは奴らに見つかっていたんだ」
 鳳凰は、そう言うとその場に横になった。
「疲れた。もう寝る」
 青竜は、横になっている鳳凰の後ろ姿を、見つめながら考えた。妖魔に、人並みの心があると思ってはいけないのだろうか……。
「玄武」
 返事がない。
「玄武、てば」
 青竜が玄武の方を振り替えると、玄武も横になっていた。
「わしももう休むとするよ」
 玄武は横になったままそう答えるとやがてすーすーと寝息をたてはじめた。
(起きているのは私だけか)
 青竜は、釈然としない気持ちでひとりため息を吐いた。
 ふと桜の様子が気になってそっと襖を開けると、襖の向こうの布団の中で、桜が丸い目を向けていた。
「起きていたのですか」
 青竜は、小声で話しかけた。
「寝付けなくて」
「そうですか。すみません、うるさかったですか?」
「いいえ」 
 ふたりは見つめ合ったまま、しばらく黙り込んだ。
「青竜、わたしもあなたの考え方、好きですよ」
 桜が沈黙を破る。青竜は、少しだけ決まりの悪そうな顔をして微笑んだ。
「もう眠りなさい」
 そう言うと、青竜は襖を閉じて、横になった。明日にはまた旅立つのだ。もう眠らないと……。

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