絵コラム

日常の事や萌えを語ったり漫画を連載したり…

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幻創夢伝 囮作戦

幻想夢伝、前回発表済みの作品をアップしてしまってました…。
今回こそ続き。これはアップしてなかったはず…。
サイトにきちんとまとめておかないとごっちゃになりますね。ちゃんとやろう。

吞獣との戦闘編これで終わりです。次回まとめ編書いたら、ようやく次の章に突入です。
作者がさぼってるせいで進みがかなり遅い…。

次の章だけちょっと主人公が交代になります。
いよいよ朱雀登場編。来年はもっと沢山更新出来るようにがんばります!!

では、小説は続きからどうぞ

幻創夢伝

 囮作戦

 今宵は満月。だが雲も多く、月は現われたり隠れたりを繰り返していた。
(万一危ない時には、玄武がフォローしてくれるだろう。それに桜様も……)
 月が隠れ、あたり一面が深い闇に覆われる。青竜がまだ心配そうにしているのが分かるのか、鳳凰が勇気付ける様にささやいた。
「青竜、奴は頭が悪い。不意をつくのは簡単だろう。大丈夫。なるべく早く奴を仕留めればいいんだ。いいか、月が再び現われたら作戦開始だ。」
 青竜は頷いた。スピードには自信がある。奴が一瞬でも隙を見せたら、すかさずそこを狙えばよい。
 月が現われた。
 と、同時に鳳凰も飛び出す。あっと言う間に呑獣の目の前に躍り出た。
「さあ、かかって来な。思う存分相手をしてやる」
 鳳凰が挑発すると、呑獣はゆっくりと歩み寄って行った。青竜は呑獣の背後へと気配を消しながら回り込んで行く。
 茂みに残るは、桜と玄武。
 桜は未だ不安で仕方なかった。こうして見ていると、鳳凰も青竜も今にもやられそうな気がしてならない。鳳凰を助けたい、と意気込んでここまで来たものの、もしも二人が危険な状況に陥ってしまった時に、自分が助けてあげられる自信など、全く無かった。
 桜は全身を硬直させながら、ただふたりの様子を眺めていた。玄武はと言うと、桜の脇で何やらガサゴソと準備をしている。やがて桜を見上げると言った。
「桜殿、そう堅くなるでない。」
「はい」
 桜は曖昧な笑みを浮かべながら頷いた。
「“自分も何かやりたい、役に立ちたい”そう思っているのじゃろう?」
「それは、そうですけど……」
 何をすればよいのか分からない。桜は困った様な顔をした。
「よいか。今からわしの言うとおりになさい。さすらば、あのふたりを援護する事が出来る。桜殿でもな」
 そう言うと玄武は、白紙の札を五枚程桜に渡した。
「呑獣が炎を放って来たら、その札を掲げて“封”と唱えるのじゃ」
「ええ?」
 桜はきょとんとして、何が何なのか分からないという感じである。玄武はそんな桜の様子などおかまい無しで続けた。
「ほれ、呑獣をしっかりと見て、今じゃ!」
 次の瞬間、呑獣は鳳凰の方へ向けて凄まじい炎を吐き出した。
「ほれ!」
 もう一度、玄武が桜を促す。
「は……はい!」
 桜は急いで札を掲げると、唱えた。
「封!」
 すると、先程まで鳳凰の方へと向かっていた炎が、みるみるうちに桜の方へと引き寄せられて行った。
「え、ええ!?」
 この札は、幻術を持ち主の方へと引き寄せる力があるのだろうか。桜は恐ろしくなり、札を放そうとした。
「これ!手を離すでない!」
 玄武がすかさず注意し、桜の両手を抑えた。
「そ、そ、そんな事言っても…!」
 このままでは、自分がやられてしまう。やはり、札を手放さなければ!
 しかし、桜にはもはや札を手放す時間すら残っていなかった。炎は容赦無く桜に迫り来る。
(駄目だ! やられる!)
 桜は目を瞑ると、あとは為すがままにした。と言うより、体が硬直して動けなかった。
 瞼の向こう側が、まばゆい光に照らされるのを感じ、そして間もなく、元の暗闇に戻った。
「……桜殿、桜殿!」
 玄武が必死で呼び掛ける。桜は、おそる、おそる目を開けた。
(……生きている!)
 それどころか、体には傷一つない様である。変わった事と言えば唯一つ、桜の掲げている白い、いや、白いはずだった札が、真っ赤に染まっていた事だった。玄武は、その赤く染まった札を確認すると、満足気に頷いた。
「うむ、どうやら、成功じゃな」
「あの、これは一体……?」
 桜が、赤く染まった札を掲げたままの姿勢で、玄武に尋ねると、玄武はゆっくりと答えた。
「この札はじゃな、幻封札という特殊な札なんじゃ」
「げんふうさつ…‥ですか?」
 桜にとって、初めて聞く名称だ。
「この札を掲げ、“封”と唱えれば、それだけで誰でも、幻術を札の中に閉じこめる事が出来るのじゃ。ただし、一枚の札につき、ひとつの幻術だけじゃがな」
「へえ!」
 桜は目をまんまるに見開いて感心し、しげしげと札を眺めた。
「桜殿、呑獣が炎を放ってきたらその都度、今の様に炎を封じなさい。お主の役目はそれだけじゃ」
「はい!」
 これなら、自分にも出来ると、桜は元気良く返事をした。

 一方、茂みの奥に隠れながらこっそりと、呑獣のほぼ真後ろの位置にまで周り込んでいた青竜は、さっきの桜の活躍を目の当たりにして、ほっと胸を撫で下ろした。
 これで、鳳凰が炎にやられる心配は無いだろう。
(それにしても、呑獣に、幻封札で対抗するとは、なかなか面白い事をやりますね)
 一体何が起きたのか、呑獣には理解出来ない。その後も、立て続けに、炎を吐き続けた。その度に桜が、幻封札で炎を封印する。
(あいつ、学習というものが出来ないのか)
 夢中になって炎を吐き続ける呑獣を、鳳凰は少し憐れに思った。
 青竜はもう、呑獣の直ぐ後ろにまで迫っている。呑獣が、次に炎を吐いた瞬間に仕留めるつもりでいる。
 月が隠れ、辺りは漆黒の闇に包まれた。鳳凰は何も見えなくなり、全身の感覚を研ぎ澄ませた。青竜は僅かだが、暗闇でも呑獣の動きを見る事が出来た。
 呑獣が口を開ける。
(炎がくるか)
 鳳凰は、そう感じた。しかし、炎は来なかった。代わりに、鳳凰の体は、何か生温かい液体に濡らされた。
 再び月が現われる。
 鳳凰の目の前に、呑獣が倒れている。そして、その直ぐ後で青竜が手を合わせていた。
「終わったな」
「ええ」

二人とも、呑獣の青い返り血が、べっとりと体にまとわりついている。妖魔や、妖獣、といった魔の属性の者には皆、青い血が流れている。呑獣は、声を揚げる間もなく殺された。

(こいつ、自分が死んだ事は分かっているのかな)

目も口も、開けたままで絶命している呑獣を眺めながら、ふと鳳凰はそんな事を思った。

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