絵コラム

日常の事や萌えを語ったり漫画を連載したり…

幻創夢伝 呑獣

約半年も更新を怠っていましたが、久々に小説の続きをアップします。

【前回までのダイジェスト】
地界の魔を封印するために天界から舞い降りて旅をする桜、青竜、鳳凰。
竜宮という村で玄武と合流した3人だったが、そこには鳳凰と同じ技(炎)を操る妖魔がいた。
危うく桜を危険な目に遭わせてしまった鳳凰は、一人で妖魔を倒そうと立ち向かうが、それを阻止すべく青竜が後を追う。
一方桜は自分の無力さを嘆いていた。
鳳凰と合流した青竜は、もっと自分を頼ってほしいと説得し、一緒に力を合わせて妖魔に立ち向かうと決意を新たにしたのだった。

前回の話はこちら→ ひとりじゃない

では、続きから小説をどうぞ。

幻創夢伝

呑獣


「ともかく、アレを何とかしなくては」
 そう言うと青竜は茂みの向こうを横目で見た。青竜の視線の先で、例の“毛玉”がうろうろしている。未だに青竜達を見付けられずにいるあたりから察するに、相当鈍いに違いない。
「ほう、もしやと思っていたが、やはりそうじゃったか」
 毛玉を見つめながら、玄武が呟いた。
「やはり、とは?」
「あれは呑獣と呼ばれる妖獣じゃ」
 青竜と鳳凰が同時にはっと息を呑んだ。
「どんじゅう……?」
 桜だけは首を傾げている。
「桜様、呑獣については以前私が教えましたよね?」
 青竜は溜息を吐いた。
「え? ええっと……」
 桜は上目づかいで頬を掻く。
「初級妖獣図鑑16ページ!」
「すみません、図鑑は天界に置いてきてしまいました!」
 桜は青竜に頭を下げた。しょうがねぇなと、鳳凰が説明を始める。
「呑獣といえば、ある程度妖獣の知識を持っている物ならば、誰しもが知っているほどメジャーな獣だが、実際にその姿を見たものは殆どいない珍しい妖獣だ。呑獣は、その名の通り、ありとあらゆる幻術を呑み込む能力を持っている」
「うむ。わしも実際に見たのは初めてじゃ」
 と玄武。
「じゃがの、呑獣は普通、幻術を呑み込んでそれで仕舞いなんじゃ。知能も極めて低く、言葉も話せない。じゃが、今あそこにいる呑獣は、呑み込んだ技をそっくり返す事が出来る様じゃの」
「それに、簡単な言葉も操っていた」
 青竜が付け足した。不思議そうに考え込む玄武に、鳳凰が言った。
「あいつは邪鬼の下僕だ。邪鬼が教え込んだんだろ」
「邪鬼……?」
 玄武と桜が尋ねた。
「実は先ほど……」
 青竜は邪鬼の事を二人に話した。桜は身震いをすると言った。
「も、ものすごいヤンデレですね、その人!」
「どこからそういう言葉を覚えてくるのです!?」
 青竜が呆れた顔をした。
「いや、まさにヤンデレって言葉が奴には一番ぴったりだよ。まったく、迷惑千万」
 鳳凰が溜息を吐く。
「大丈夫ですよ、鳳凰。私が守ってあげます!」
 桜が鳳凰に笑顔を向けた。
「邪鬼の事はともかく」
 鳳凰は桜を華麗にスルーする。
「どうやら、今回は俺の出番じゃないな」
 鳳凰は青竜の肩に手を置いた。呑獣の始末は任せたという事だろう。玄武も戦闘では後方支援タイプだ。今回の戦いは、青竜の剣術にかかっている。
 鳳凰は声を潜めながら言った。
「奴の狙いは俺だ。俺が囮になるから、その隙に青竜が攻撃を仕掛ければいい」
 青竜は慌てて首を横に振った。
「そんなの、危険です! だったら最初から私が一人で戦えばいい」
「ああ、待て、待て」
 玄武が割って入る。
「いくら青竜でも、鳳凰の炎を一人でまともに相手にするのは、しんどいじゃろう。やはり、ここは囮作戦が良いな。ただし、わしと桜殿が後方で支援する事にする」
「桜が…!?」
 青竜と鳳凰が桜に顔を向ける。桜本人も目を丸くしていた。
「あの、私一体何をすれば…」
 おろおろとする桜と、不安そうな青竜と鳳凰に、玄武は落ち着いた声で答えた。
「なあに、心配はいらんよ。桜殿にはわしがついておる。それに、桜殿も立派に戦闘を支援できるだけの力は持っているはずじゃ」
 青竜と鳳凰のふたりはまだ少し不安だったが、ここは玄武の言う事を信じる事にした。
「分かりました。頼みましたよ、玄武、桜様」
「は……はい!」
 桜は不安ではあったが、青竜から頼むと言われた事で胸が高鳴るのを感じていた。今度こそ、力になれる時がやってきたのだ。
「鳳凰、お前この暗闇で、あいつの攻撃をかわせるか?」
 青竜が心配そうに尋ねた。
「月が出れば、僅かだが奴の姿を判別出来る。それに目が見えなくても、気配を感じ取って動く事は出来る」
「そうか」
青竜は頷いた。

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