絵コラム

日常の事や萌えを語ったり漫画を連載したり…

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幻創夢伝 謎の声

今日は久々に幻創夢伝の続き行きます!
桜様は着彩に突入したので、後で線画アップします。

前回までのおさらい。
その昔青竜が仕事中に居眠りをしたおかげで村が水没しちゃいましたって所まで。
今回から現在に戻ります。

幻創夢伝

謎の声 

「と、まあ、この話がこの村と青竜の過去ってわけだ」
 時は現在に戻り、泉の傍の岩場にて。鳳凰は話を終えた。隣で桜が頬を紅潮させながら目を見開いている。少し興奮しているようである。
「そんな事があったのですねぇ……」
 桜は気持ちを静める様にはあ、とひとつ溜息をついた。水晶宮の兄弟達は仲が良いと感じてはいたものの、兄を思うが故、過去にそんな失敗を犯していたなんて、桜にはなんだか微笑ましいエピソードに思えた。
無論、被害をこうむった竜宮の人々の事を思うと、微笑ましいなどと言っていてはいけないのだろうけど。
「青竜が祈りを捧げていたあの社には、その時の犠牲者の魂が祭られているんだ」
「それで、あんなに熱心に祈っていたのですね」
 桜は納得した。
「青竜はその時の犠牲者の名前を全て覚えていて、そのひとりひとりに対して祈りを捧げているからな。だから、時間もかかるってわけ」
「へえ! ひとりひとりにだなんて、なんだか青竜らしいですね」
 青竜は無口でぶっきらぼうではあるが、本当は情に厚い性格なのである。
「だな。くれぐれも、俺が話したって事は青竜には内緒に……」
 鳳凰は途中で口を止めると、突然顔をこわばらせた。
「どうかしましたの?」
「妖魔の気配がする。どうやら監視されているな」
「え……」
 桜には妖魔の気配は分からなかったが、鳳凰の態度から只ならぬ空気を感じ取り、恐怖を感じた。
「そろそろ青竜の所へ戻った方がよさそうだな」
 鳳凰は立ち上がると足早に元来た道へと歩いて行った。桜は鳳凰のすぐ後ろにぴたりとついて歩いた。しばらく歩くと、目の前に見覚えのある泉が現れた。鳳凰は立ち止まり、何やら考え込んでいる様である。桜は自分が感じた事を素直に口にした。
「……なんだか、さっきの泉に似ていますね」
「いや、この泉はさっきの泉と同じさ」
 鳳凰は表情ひとつ変えないまま言った。
「嫌だわ、道を間違えたのね」
 やはりそうかと、桜はふてくされた。
「それは、一番ありえない選択肢だろ」
 鳳凰は、面倒臭そうに答えた。自分が"間違える"なんて事は、真夏に雪が降る事よりもありえないと確信している。そんな鳳凰の態度に、さすがの桜もカチンときた。
「では、一体どうしてさっきと同じ場所に来てしまったのですか!」
 桜は、苛立ちを隠せずに怒鳴りつけた。確かに、鳳凰が失敗したなんて所は見た事も聞いた事もなかったが、誰だって失敗くらいする事があるはずだ。素直に失敗を認めて欲しい。
「どうやら、はめられたな」
 鳳凰は、至って冷静に答えた。
「もう! つき合ってられません!」
 そう言うと、桜は引き返した。道ならなんとなく覚えていたし、ひとりで帰るつもりでいる。一方鳳凰は、桜が一人で歩きだしたというのに、その場を動こうとしなかった。桜は少し不安になったが、そのまま歩き続けた。
 しばらく歩くと、目の前に泉が広がり、先ほどと同じまま鳳凰がそこにいた。驚いている桜を横目に、鳳凰はそっけなく「おかえり」と言った。桜はしばし呆然とした後に、その場にへたり込んだ。やっぱり鳳凰は間違えてなどいなかったのだ。
「どうすれば帰れるのでしょう……」
 鳳凰は黙ったまま、身動きせずにいる。
「おい、そこの あかげ」
 突如草むらの方からしゃがれた、低い声が聞こえて来た。妖魔の声の様である。
「それは、俺の事か」
 即座に鳳凰が応える。こういう時に堂々と応えられる鳳凰が信じられなかったが、おかげで桜は少し落ち着く事ができた。草むらの声は、たどたどしくぶっきらぼうな声で続けた。
「おまえ、げんじゅつ つかいの ほうおうだな。おれに げんじゅつ、みせてみろ」
 鳳凰は草むらの妖魔が何故自分の事を知っているのか不審に思った。慶塊と慶杏が自分たちの事を妖魔達に話したのだろうか。
「おかしな奴だな。どうして俺の幻術などに興味がある?」
 顔には冷笑を浮かべている。
「おれも げんじゅつ つかえる。おまえの じつりょく、みてみたい」
「俺の実力だって!? あんた死にたいのかい? まあ、死んでくれれば、この場から解放される訳だから言う事ないけど、お前って……」
「はやくみせろ」
 草むらの声が、待ちきれないとばかりに鳳凰の話を遮った。
「……本当に馬鹿な奴」
 最後にそう付け足しながら、鳳凰は草むらに向かって手をかざした。何故自分の実力を測ろうとするのかどうにも怪しい。しかし、ともかくここは一撃で相手を倒してしまおうと考えた。
みるみるうちに鳳凰の手から巨大な炎が発生し、轟と凄まじい音を立てながら草むらに向かって行く。桜は、鳳凰の放った華麗な炎を眺めながら、複雑な表情を浮かべた。その規模から察するに、本当に本気の炎を放った様であった。
「いくらなんでも、可哀想ですよ!」
「可哀想、だって!?」
 鳳凰は思いっきり眉間にしわを寄せながらまくしたてた。
「桜、お前はまた懲りずに恐ろしい目に遭いたいってのか!?」
 こちらは桜を守るために必死になっているというのに、のんきに敵方に対して可哀想などと言っている桜に対して鳳凰はイラついていた。
「だいたい、お前は考えが甘っちょろいんだよ!」
 この際だから徹底的に言ってやろうと鳳凰はさらに続けたが、桜があさっての方角を見つめている事に気付いて言葉を止めた。
「おい、おい、おい、人の話を聞けよ!」
 鳳凰はぶちきれ寸前である。
「鳳凰、あれを見て下さいな!」
 そんな鳳凰の様子など全く気付かずに、桜は指差した。
「ああ!?」
 いまいましそうに振り替えった鳳凰の表情が次の瞬間、完全に固まってしまった。
「そんな馬鹿な!」
 鳳凰は見た。自分の放った炎が、まるで吸い込まれるかの様に草むらの中に消えてゆくのを。

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