絵コラム

日常の事や萌えを語ったり漫画を連載したり…

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幻創夢伝(竜の兄弟・前編)

青竜の過去の話。長いので前編と後編に分けます。
青竜には内緒って事で話すわけだけど、桜は絶対いずれは鳳凰から聞いたって言うに違いない(笑)

では続きからどうぞ。

  
幻創夢伝  竜の兄弟(前編)

 
 鳳凰は、その後もぶらぶらと歩き続けた。桜は鳳凰の少し後ろを歩きながら、どこからか聞こえてくるサラサラと流れる水の音に耳を傾けていた。竜宮は水を生む村とも言われていて
村のあちこちに水が存在していた。
左奥の方では小さな小川が流れているし、右前方では、涌き水が溢れ出ている。しばらくそうしてただ水の音を聞きながら歩き続けると、やがてふたりは、大きな泉に辿り着いた。泉は太陽の光を反射してキラキラと眩く輝いた。
「綺麗な泉」
「なんだか水晶宮みたいだな。青竜が出てきそうな気がする」
 鳳凰は泉の近くの岩場に腰を下ろした。
「そうですね」
 桜も鳳凰の隣に座ると、泉を見下ろした。青竜と桜が暮らしていた天界の水晶宮は、丁度こんな感じの泉の中にあるのだ。桜は天界に戻ったような錯覚に陥った。
「そういえば」
 桜は眼を輝かせると言った。
「この村と青竜の関係について教えて下さいな!」
「ああ、そうだった」
 桜と交わした無言の約束を思い出して、鳳凰はにやりと笑った。
「俺が喋ったって事、青竜には内緒な」
 鳳凰はそう言うと、話し始めた。
「今から100年程前の話だが……」
 
 その頃の青竜は、とにかく多忙だった。毎日仕事が山の様にあった上に、まだ小さい弟達の面倒もみてあげなければならなかった。
今でこそ、次男の紅竜はしっかり者になってきたが、当時の紅竜はかなりのやんちゃ者だったし、三男坊の白竜は、とんでもなくへそ曲がりだった。末っ子の黒竜はと言うと、泣くしか出来ないだだっ子だった。
この様な手のかかる弟達を三人も抱えながら大量の仕事をこなすのは、ただでさえ要領の悪い青竜にとって、至難の技だったに違いない。毎日夜更けまで、仕事をした。徹夜になる日も少なくなかった。
そんな青竜の様子を見て、さすがに弟達も心配になり、仕事を休んだらどうかなどと薦めてみたが、青竜はきかなかった。真面目な青竜にとって、仕事を休むなんてとんでもない話なのだ。
ならばと、紅竜は、仕事を手伝おうかと言ったが、やはり青竜はきかなかった。
紅竜に負担をかけたくなかったし、何より仕事をやらせるのが少し心配だった。

 そんな或る日の事である。その日の青竜は例によって徹夜明けだったが、地界に雨を降らせに行かなければならなかった。
「兄貴、大丈夫か?」
 紅竜が心配して声をかけた。ただでさえ青白い青竜の顔が、ますます青白くなっている。大丈夫と青竜は言ったが、かなり無理をしている様子だった。
(やばいな。このままだと、いつか近いうちに倒れるぞ)
 紅竜は不安になった。どうにかして青竜を休ませなければと考えていた。
「兄貴、今日は雨を降らせに行くんだろ? そのくらいなら俺にだって出来るから、今日はゆっくり休んでろよ」
 出来る、と言っても、まだ覚えたてである。青竜の返事はこうだった。
「まだ、お前一人でやるのは無理ですよ。私の事は心配ないから、白竜と黒竜の事を頼みましたよ」
 紅竜はがっくりとした。
(参ったなあ…。もう少し信用してくれてもいいのに…)
 そこへ、白竜がやってきた。
「いい方法があるぜ」
 と言って手に持っている薬草をチラリと見せた。眠り草と呼ばれる一種の睡眠薬だ。
「なるほど、強制的に休ませる訳だな」
 ふたりは小声で相談した。少々手荒な手段だし、後で青竜にこっぴどく叱られる事が目に見えていたが、このまま青竜に無理をさせて倒れさせてしまうよりは余程いいだろうという結論に達した。
 ふたりは、眠り草を混ぜ込んだお茶を青竜に差し出した。青竜はそれと気づかずに全て飲み干した。あとは、青竜が眠りに就くのを待つだけだ。ふたりはドキドキしながら青竜の様子を窺っていたが、青竜が眠りに就く様子は全くなかった。それどころか、
「もうこんな時間ですか。そろそろ行かなくては」
 と言うと、さっさと地界へ行ってしまった。
「おい、あの草効かなかったのか?」
「おかしいな。分量を間違えたかな」
 白竜は首をひねった。
 その日の晩、青竜は帰ってこなかった。仕事の都合で外泊する事はよくあるので、誰も特に気に留めなかった。しかし、その次の日も、そのまた次の日も、青竜は帰ってこなかった。
 そうなると、さすがに紅竜は不安になってきた。あの日飲ませた薬の事も気になる。白竜も心配そうな顔をしていた。
「青竜兄ちゃん、どうしたのかな……」
「兄貴なら大丈夫だ!」
 そう言ってぽんぽんと白竜の肩を叩くが、白竜の顔色は冴えないままだ。黒竜も不穏な空気を感じて不思議そうな顔をしている。
「ちょっと様子見てくる! 白竜、黒竜と大人しく待ってろよ!」 
 そう言うと紅竜は青竜を探しに出た。
「兄貴、何処にいるのかな」
 紅竜は、やみくもに地界の空を駆けた。やがて、雲の上で横たわっている青竜を発見した。
(あんな所に……!)
 紅竜は急いで駆け寄ると、大声で呼びかけた。
「兄貴!」
 返事がない。
「兄貴ってば!」
 今度は激しく揺すってみたが、やはり目を閉じて眠ったままだ。
(もしかして、眠り草のせいか…!? だとしたら、三日前からずっと眠ってるってのか!)
 青竜の様子も心配だったが、天界の人間は多少飲まず食わずでいたとしても大丈夫である。それよりもと、紅竜は急いで地界の様子を確認した。雨が降っている。どうやら、三日前に青竜が降らせた時からずっと降り続けている様で、町が水びたしになっていた。
(いけない、すぐに雨を止ませないと!)
「ええと、雨を止ませる術は確か……」
 紅竜は青竜から教わった記憶をたどりながら術をつかってみたが、雨は一向に止む気配がなかった。紅竜の術力では、青竜の降らせた雨を止ませるには力不足なのだ。
「ええい、やめったら!」
 何とかしようと、何度も術を使ってみたが、やはりだめだった。それどころか焦って術を使ったせいか、若干雨の降り方が激しくなっている様な気もする。
 青竜の方も全く目を覚ます気配がない。
(なんてこった……orz)
 紅竜が途方に暮れていると、白竜が黒竜を連れてやって来た。
「大人しく留守番してろ、て言っただろ!」
 気持ちが焦っている為、トゲトゲとした口調で紅竜が言った。
「俺だって、青竜兄ちゃんが心配だったんだよ!」
 白竜も負けじと言い返す。
「青竜兄さん、死んじゃったの?」
 紅竜のそばで横たわっている青竜を見つけた黒竜が驚いた声で言った。
「まさか、ね、眠り草が原因で!?」
 白竜も動揺している。
「ばか、死んじゃいねえよ!ただ寝てるだけさ」
「なら良かった」
 黒竜は安心した様だったが、白竜の不安はおさまらなかった。こうなったのは、自分のせいだと思った。
「このまま目を覚まさなかったら、どうしよう」
 白竜は、そう言うと涙をこぼした。
「やっぱり、死んじゃうの?」
 そんな白竜の様子を見て、黒竜まで泣きだした。
「こらこら、勝手に殺すな、てば!」
 二人をなだめながら、内心では紅竜自身も不安でならなかった。


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