絵コラム

日常の事や萌えを語ったり漫画を連載したり…

改訂幻創夢伝 憧憬

今回は幻創夢伝の中でも好きな話の一つです。
桜と鳳凰が兄妹ごっこをしようとして失敗するという、可愛らしくも切ない話。
二人姉妹の私は兄弟がいないと淋しいだろうなぁと思いながら、当時こんな話を書いたのだと思うのですが、後日一人っ子の人に聞いてみたら兄弟が欲しいとかいう発想自体持ってませんでした。
兄弟を持ったことな無いと、一人が淋しいという考えすら浮かばないものなのですね。

今日は小説の挿絵を描いてみようと頑張ったのですが、小説と絵と両方描くのはかなり大変だと分かりました。
まず、時間が足りません。自分の時間少なすぎる;;
今日も息子が起きてしまったのでもう寝なきゃ;
竜宮

続きから小説ですー。

 幻創夢伝

 憧憬

「桜、少し散歩でもしようか。せっかく来たんだし」
 そう言うと鳳凰は歩き出した。
「え? でも、青竜は?」
 桜は戸惑いながら青竜と鳳凰を交互に見た。
「大丈夫。30分は動かねえよ」
 青竜は何も気づかずに祈り続けているし、そうこうしているうちに鳳凰はどんどん遠くへと行ってしまう。
「待って下さい!」
 桜は急いで鳳凰を追いかけた。
「それにしても、いい日和だな」
 鳳凰は、歩きながら空を仰いだ。
「え? あ、はい、そうですね」
 桜も鳳凰に倣う。空は穏やかな秋晴れで、以前よりも少し冷たさを増した風も、心地よく肌に染み渡ってくる。サワサワと優しい音を奏でながら木漏れ日が揺れている。この村にいると、自然と心も穏やかになる様だった。
「こうして並んで歩いていると、やっぱり俺達兄妹に見えるのかな」
 鳳凰がふと口にし、ぼうっと辺りを眺めていた桜は我に返った。
「え?」
 先ほどの事を言っている様だが、改めて言われると桜はなんだか照れくさく感じた。実を言うと、本当の兄弟だったら良かったのにと、少しだけ思っていたのだ。
「そうだ、今だけ本当の兄妹のふりをしていようか!」
 桜は驚き、そして顔を赤らめた。鳳凰が何を思ってこの様な事を口にしたのか分からないが、桜は自分の気持ちが見透かされた様な気がした。
「あのー、もしかして分かっちゃいました?」
 おずおずと桜が言った。
「何が?」
 鳳凰は、不思議そうな顔をしていたが、桜は話を続けた。
「さっき、ご老人が私達の事を兄妹だと勘違いした時の話ですけど、実は私、少し嬉しかったのです。私には兄弟なんていませんから……」
 桜は少し、寂しそうな表情を浮かべた。光から生み出された桜にとって、肉親など存在しない。青竜は、桜の育ての親ではあるが、肉親という訳ではない。水晶宮では青竜とその兄弟たちに囲まれて賑やかに過ごしてきたが、却って空しいと思う瞬間も桜には時々あった。
 鳳凰はそんな桜の表情を黙って見つめていたが、やがて、こう言った。
「俺も嬉しかったぜ」
「ええ?」
 どうせ、からかっているのだろうと思って顔を見上げてみると、以外にも鳳凰は真面目な顔をしている。
「可笑しいか?」
「いいえ!」
 鳳凰が少し不機嫌な顔をしたので、桜は慌てて否定した。
「そんな風に思うのは、肉親がいない所為だと思っていましたもので……」
 鳳凰は応えなかった。しばらく経ってから、こう言った。
「案外そうかもな」
 桜は一瞬、眉をひそめた。
「何故そんな事を言うの?」
「俺にも、肉親なんていないからね」
「あっ」
 桜は鳳凰が地界の出身だという事を思い出した。どうして天界に来たのかは、桜には良く分からないが、鳳凰が天界で暮らす様になってから、もう長い。肉親が、未だ生きている訳がなかった。天界人と地界人では、寿命の長さが違う。
「鳳凰も、寂しい思いをしているのですね」
 桜がぼそりと言った。
「まさか。もう慣れたよ」
 笑いながら応えた。
(嘘だわ)
 桜は思ったが、口にはしなかった。
「お兄さま」
 ふいに桜が口にした。
「………は?」
 鳳凰は、しばらく考えてから間の抜けた返事をした。
「今だけ、兄妹でいるのでしょう?」
 桜が悪戯っぽい目をしながら言っている。
「ああ、そうだった」
 そう言って鳳凰は笑ったが、内心戸惑っていた。冗談のつもりで言ってみただけだったのだ。
「それにしても、お兄さまっていう柄じゃあ、ないよな」
 冗談とはいえ、お兄さまと呼ばれている自分に違和感しか持てない。
「では、何てお呼びすれば宜しいの?」
 桜は真剣な眼差しで鳳凰の応えを待っている。まいったなと思いながら、ここは桜に付き合う事にした。
「そうだな……」
 鳳凰は立ち止まって、目を閉じて考えた。ありとあらゆる代名詞を思い浮かべてみた。どれもしっくりこない。
(俺に兄弟なんて、似合わないな)
 少し虚しくなった。
 目を開けた。
「決まりました?」
 桜が無邪気に尋ねた。
「やめよう」
 鳳凰は夢から覚めた様な顔をしている。
「俺達は兄妹じゃない」
 そう言うと鳳凰は早足で歩き出した。
「じゃあ、お兄さまって呼ばせて頂きますね!」
 桜は小走りで鳳凰に近寄るとそう言った。
「しつこいなあ」
「違和感があるのは、慣れないからですよ」
 桜はにこにこ笑っている。
「お兄さま、早速ですが、お願いがあります」
「お願い?」
「手を繋いでも、宜しいでしょうか?」
「何だ、そんな事か」
 そう言うと鳳凰は、手を差し出した。
「どうした?」
 桜は、差し出されたその手をただ見つめるばかりで、握ろうとしない。
「夢だったんです」
 鳳凰は、黙って桜の手を取った。桜が何を夢見ていたのか、それ以上尋かなくても、だいたい分かってしまった。歩きながら、こんな時本当の兄妹なら、どんな会話をするんだろうと考えた。
鳳凰にはもともと兄弟はおらず、考えてもどうしたらよいか全く分からなかった。桜も同じだった。なので、お互いただ黙って歩いた。どことなく、ぎこちない雰囲気が漂った。
「おやまあ、初々しいカップルね」
 通りすがりのおばあちゃんが、にこにこ笑いながら言った。
「え!?」
 桜と鳳凰はしばらく見つめ合った。それから鳳凰はくつくつと笑い、桜は不思議そうな顔をした。
「やめやめ! ほら、やっぱ無理なんだよ」
 そう言うと鳳凰は桜の手を離した。桜は自分の手を見つめながら首を捻った。
「本当の兄妹は、手をつないで歩いたりなどしないのでしょうか……」


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